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マルチ勧誘編①

 

こんばんは。

というわけでマルチ勧誘編スタート!である。

 

話は去年の11月頃に遡る。

その頃、私はエステでガンガン働いていた。先輩たちは急にキレるし、話題はもっぱらクラブと男についてであった。年内に退職できることだけを楽しみに働いていた。

その頃急に高校時代の友達から連絡があった。名前を仮にSとする。Sとは高校2、3年の時に同じクラスで、所属するグループも同じだった。卒業間近の時期などはほとんど毎日遊んでいた。Sは変わっていなかった。

私はフェイスブックツイッター(リア垢)もインスタグラムも20歳くらいの頃に消していたので、S含め高校の時の知人友人の近況など全く知らなかった。ちなみにそれらを消した理由は「どうでもいい奴の情報しか流れてこないから」である。

なので、久々に旧友から連絡がきた時、学生時代に戻ったようで嬉しかった。

「久しぶり!元気?」Sのノリは高校生の時とあまり変わっていなかった。

とりあえず今度遊ぼう!という話になった。彼女はなぜか待ち合わせ場所に渋谷を指定してきた。その時はたぶん「行きたいカフェがある」とかなんとか言われた気がする。まあ渋谷といえば若者の街だし、と特に疑問は抱かなかった。が、今にして思えばすでにこの時から勧誘は始まっている。

 

「お待たせ~」4年ぶりに会った友人は昔とあまり変わっていなかった。行きたいカフェとやらに半ば強引に連れていかれた。タイ料理のカフェだった。私はタイ料理が嫌いなので、フライドポテトを食べていた。

「最近どう?」から始まって、簡単な近況報告。Sは教育関係の仕事に就いていて、そこはなかなかのブラックのようだった。毎日終電、サービス残業、プレッシャー、終わらない仕事を持ち帰り…どうでもいいけど、こういう風にバリバリに働いてる女性はOLというより「サラリーマン」って感じがしませんか?

とにかくSは現状に不満たらたらのようだった。まあ無理もない。毎日が楽しくて楽しくて!なんて社会人、そうそういないだろ。お互い仕事の愚痴やらをおおかた言い終えたあと、Sが唐突に言った。

「プパポはさ、自分はこうなりたい!とかないの?」

私はしばし真剣に考えた。毎日乙女ロードを徘徊したい。チワワを飼いたい。家にドリンクバーが欲しい。佐藤健と付き合いたい。空を飛びたい。いや違う、Sが聞いてるのは自分が何者になりたいか、だろう。それなら高校生からの夢がある。石油王の嫁になりたい!と言いかけたが、Sの真剣なまなざしを受けて言葉を飲み込んだ。発した言葉は戻せない。よく考えてから口に出さなければならない。

「いや、私は今の自分でいいや~…」

言った瞬間にあまりにもバカ丸出し過ぎてちょっと後悔した。Sも「そ、そうか~」って何引いてんだお前が聞いたんだろうがどうにかしろやこの空気。

その後もSは「変わりたいんだよね」とか「自分らしく生きたい」とかなんかそういう自己啓発書に書いてありそうなセリフを連発していた。

本気で変わりたいのならわざわざ他人に言う必要などない。勝手に努力をすればいいだけである。経験上、「変わりたい!」とか「○○したい」とか言う奴は本気で変わりたいなんて思っちゃいない。ただ自分に酔いたいだけだ。見たところ、Sは既に酩酊状態のようだった。無論こちらは素面である。私はいろんな意味でザルなので、こういう状況になることは少なくない。さっさと解散して、TSUTAYAにでも寄って帰ろう…と思っているとSが言った。「今から先輩が来るからさ~」

Sがお世話になった先輩が今からこのカフェに来るらしかった。同席している人間に一言の断りもいれず突然他人を呼び出す神経には恐れ入る。これくらい無神経でないとマルチ商法など務まらない(?)のだろう。

とりあえずその先輩とやらが来ることになった。

 

続く